“人類最強”ヒョードルが女子総合格闘技を全否定発言で波紋

2015/08/13 ハリスナ 0

総合格闘技、2000年代の約10年間を無敗、「60億分の1の男」と称され”人類最強”として世界中で広く認識されていた元PRIDEヘビー級王者、ロシアの”氷の皇帝”エメリヤーエンコ・ヒョードル（38）が7月15日に現役復帰を表明し世界的ニュースとなったが、

現役復帰を表明の4ヵ月前の今年3月にMMA(総合格闘技)専門メディア「WHOA TV」へのインタビューで「MMA（総合格闘技）は男の為のスポーツです。」「女性は女性らしく見えるスポーツをすべきです。」と発言。女性総合格闘技に対して支持をしていない考えを表明し、MMAのコミュニティに波紋を呼び、話題となっている。

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■＂人類最強の男＂の近況

2001年から2009年まで28戦を戦い無敗王者、ウクライナ出身でロシア国籍のエメリヤーエンコ・ヒョードル（38）は、総合格闘技大会「ストライクフォース」での2010年6月から2011年7月のわずか1年間で世界中に衝撃を与えた3連敗を喫した後に、2012年6月にペドロ・ヒーゾにKO勝利を飾り現役引退を表明。

現役時代から引退後の政治家転身が噂され2008年にロシアの大学を卒業しているヒョードルは引退後にロシアスポーツ省に入省。サンボの発展などに尽力した。

私生活では、1999年に前の妻と結婚し娘がいたが、2007年に突如今の妻と結婚し娘が生まれた。

今年7月15日に現役復帰を表明したエメリヤーエンコ・ヒョードルは、現在、引退前に出場が熱望されていたにも関わらず実現しなかったアメリカ最大の総合格闘技団体「UFC」と協議を重ねている。

追記：2015年12月31日の『RIZEN』に出場し現役引退から3年半ぶりに現役復帰を果たし、シング・心・ジャディブに1RTKO勝利、さらに 2016年6月17日の『EFN 50』ではファビオ・マルドナドに3R判定勝利を飾っている。

■エメリヤーエンコ・ヒョードルは女子MMA(総合格闘技)を支持しない考えを表明

出典：lowkickmma.com

普段はジェントルマンで温厚で知られるヒョードルは時折鋭い辛口発言をすることでも知られる。実はヒョードルは女子総合格闘技には否定的であることは以前から総合格闘技界では知られていたようだ。

ロシア正教会を信仰するヒョードルは敬虔なクリスチャンとして伝統を重んじる保守的な考え方をすることは有名だが、女性格闘技をハッキリと支持しないと語る発言は大きな波紋を呼んだ。

ヒョードルが現役復帰を表明する4か月前、今年3月に行われた MMA専門メディア「WHOA TV」のアラブ首長国連邦・特派員 Ali Mokdad氏への40分に渡るロングインタビューでは、インタビュアーとヒョードルと通訳の3人で、ヒョードルの現役復帰の可能性などを含めた様々な質問がなされた。

その中で、”美しすぎる格闘家”、”女性最強”と謳われる、現UFC世界女子バンタム級王者の女性総合格闘家ロンダ・ラウジー（28）に対して質問が及んだ。

通訳者は、「彼は彼女の試合を見ましたと言っています。彼女はとても興味深い試合をしました。打撃に関してもう少し改善すべき点を示唆していますが、しかし、彼（ヒョードルは）女性のMMA（総合格闘技）を支持していません。」とこのようにハッキリとしたヒョードルの考えを伝えた。

「女性はUFC/総合格闘技で戦うべきではありません、なぜならばこのスポーツは男性の為のものだからです。」

“Women shouldn’t compete in UFC/MMA because this sport is for men,”

引用元：「MMA JUNKIE」

「世の中には女性が女性らしく見えるスポーツが沢山あります。例えば体操、ウォータースポーツ、幾つかの陸上競技も当てはまるかもしれません。MMA（総合格闘技）は男性の為のものです。あれは男のスポーツです。」

“There are a lot of sports where women look like women – like gymnastics, water sports, maybe some athletics. MMA is for men. It’s a man’s sport.”

引用元：「MMA MANIA.COM」

またヒョードルは、娘達にも格闘技はさせない方針であると明かしている。

「（娘の）メアリーは、沢山のスポーツをします。しかし今は健康的なライフスタイルへ繋がるフィットネス、ストレッチ、サイクリングなどを行っていますが、勉強に多くの時間を割いているのでそれらのスポーツは彼女の健康の為に行う程度です。（娘の）ヴァシリーサは体操競技を行っています。」

最も影響力のあるヒョードルのこれらのインタビュー発言は欧米圏の格闘技サイトが次々と伝え、ファンもコメントで議論をしあっている。

📹「WHOATV」ヒョードル40分ロングインタビュー動画(英語)

■普段は優しいヒョードルの恐ろしい逸話と発言

Snap Via：mmamania.com

実の弟で身長198cmのエメリヤーエンコ・アレキサンダー（34）は、強盗などで5年間の刑務所服役、ロシアン・マフィアのメンバーだったと言われており刑務所出所時に兄ヒョードルは迎えに行くも、降りしきる雪の中で原形を留めないほどボコボコに殴りつけて、その顔ですぐにマフィアに足を洗いに行かせて、マフィアもヒョードルだけには一目を置いているためにアレキサンダーはマフィア脱退に成功し、その後、格闘家へ転身させたなど有名な逸話を持つ。
アレキサンダーはその後、格闘家として23勝7敗の成績を残し、ヒョードル仕込みのボクシングテクニックを武器に全盛期のボブ・サップやセルゲイ・ハリトーノフに勝利するなど皇帝の弟としての存在感を遺憾なく発した。

またウクライナ人であるヒョードルがロシア軍に所属している最中にずっとリンチとも思える厳しい訓練やパワハラを受けていた上官に対して、退役する際にボコボコにして復讐を果たした話も有名だ。

2000年代初頭にヒョードルがアジアの某格闘技大国を弟アレキサンダーと共に試合関係で訪れた後の「月刊 GONG(ゴング)」でのインタビューでは、その国の印象を尋ねられると「私はあのような性的に倒錯した国には二度と行きたくないと思いました。不浄でした。」と誌面を疑うような厳しい発言をしたことは、筆者の記憶に深く刻まれており、普段は温和でジェントルマンで正統派の王道を行くヒョードルにしては耳を疑う発言であった。

練習の合間は、自然の中でプロ級の腕前の可愛いオリジナルキャラクターの超繊細なデッサンを描く、素朴で心優しいヒョードルだが、その胸の奥には秘めた想いを貫く誰よりも熱く決して揺らぐことのない信念と考えがあるのかもしれない。

さて、確かに女性に危険で過酷な総合格闘技をしてほしくないと考えるヒョードルの意見は最もだと思うが、全ての男性が強さに誇りを持っているわけでないのと同様に、全ての女性が美しさに自信がありそれを人生に活かせるわけではなく、恵まれない境遇の中で己の強さのみがアイデンティティとなっていった女性格闘家が命を燃やして戦う舞台を否定するわけにはいかないだろう。

UFC代表ダナ・ホワイト氏はかつては決して女性のMMAを開催しないと発言していたが、考えを改めたのか今では女性大会を開催している。世界は戦う女性にも注目を集めている。

氷の皇帝の再来に、鎮静化していた日本の格闘技ファンも、戦慄を覚えるとともに、にわかに色めき立つ気配を隠しきれずにいるようだ。