アメリカのラッパー、ヒップホップMC撃たれても生き延びた11人
近年日本を始め東アジア圏内でも未だかつてないほどラップバトル等が盛り上がりを見せていますが、どの国においてもラッパーのストリートを生き抜いていく生命力は相当なものだと思います。
アメリカでは1990年代半ばの語り継がれるヒップホップ東西抗争により、西海岸を象徴する2PACと、東海岸を象徴するBiggieことThe Notorious B.I.Gはそれぞれに銃撃で殺害されこの世を去ったことは未だに語り継がれています。
近年ではざっと思い出せるだけでも、2018年にXXXテンタシオン、2022年にMigosのTakeoffなど世代を代表する有名ラッパーでも些細なトラブルで銃殺されSNSに現場の映像が出回ったりとラッパーでいること自体が最早危険なのではないかと思わせられるエピソードばかりです。勿論、薬物過剰摂取や死因不明などで若くして亡くなるラッパーやアーティストの数はさらに多いのは度々話題に上がりますね。
ある統計によれば、アメリカでは年間数十人がBeef(ビーフ)と言われる抗争の末に殺害されこの世を去っていくという過酷な業界ですが、彼らは撃たれても、また撃たれると分かっていても、それでも今なお戦い続け、ラップで主張、表現することをやめないでいます。
さて、今日はラップの起源アメリカで起った事件の数々、語り継がれるラッパー達の善悪と生死を超越した生き様を見ていきましょう。
✞目次リスト
1.The Game
snap via beardedgentlemenmusic.com
アメリカ西海岸で最も人気のあるラッパーの1人であるゲーム
アメリカの2大ストリートギャング、”クリップス”のテリトリーで育つも、
青年期には、対立するもう一つの2大ギャング”ブラッズ”のメンバーとなったゲーム。
バスケットの奨学金でワシントン州立大学に入学するほどのスポーツエリートだったが、
ドラッグディーラーで生計を立てていた。
歴史的大事件、アメリカ同時多発テロによりツインタワーが崩壊した数週間後の
2001年10月1日、深夜2:00 常連の客がゲームのアパートの扉をノックした。
ドアを開けるゲーム、しかしそこには常連の客と他に2人の見知らぬ男が立っていた。
ゲームと男らは激しく乱闘となり、ゲームは”処刑スタイル”で5発もの銃弾を撃ち込まれた。
ゲームはしばらく意識朦朧と部屋で倒れていたが、自力で携帯電話を手にし、救急車を呼んだ。
その後3日間、昏睡状態を彷徨ったという。
2.Cam’ron
snap via thissongissick.com
ニューヨークは、マンハッタンのハーレム地区出身のキャムロン
ハーレムを代表するヒップホップユニット「The Diplomats」の創始者だ。
ジェイ・zや50セントのように、地元ニューヨークのラッパーと対立、抗争してきた。
ハワード大学のイベントでワシントンD.C.のナイトクラブでパフォーマンスしたキャムロン。
愛車の煌びやかなランボルギーニで帰宅中に、
信号に捕まり、交差点で一時停止、そこに横付けしてきた1台の車。
キャムロンは車を開け放して寄こせと要求される。
断るキャムロン。
強盗は数発の銃弾をキャムロンとランボルギーニに撃ち込む。
数発を被弾したキャムロンは、その後何とか自力で運転して、ハワード大学病院へと辿り着いたという。
3.Honey Cocaine
snap via bestvideorap.com
カナダ人女性ラッパーのホニー・コケーヌ、
伝説となった2Pac(トゥパック)に影響を受け、
6歳からリリックを書くようになり、11歳から音楽活動を始めている。
ちなみに、Cocaineは、コケーヌと発音するようだが、コカインのこと。
史上最年少でビリオネアとなった全米NO1セレブ一家カーダシアン家のカイリー・ジェンナーが10代半ばの頃から交際していたラッパーのTYGAと
2012年のある日、ネブラスカ州オマハで共にパフォーマンスしていたホニー。
パフォーマンス中に悪ノリした客らが瓶などをステージに投げつけてきた。
怒ったタイガはその客らとトラブルになった。
ショーの後に、ホニー・コケーヌとタイガは連れ立ってバンに乗り会場を後にする。
黒のセダンが追ってきた。
次に、黒のセダンはバンに横付けし、発砲してきた。
銃弾はホニー・コケーヌの腕をかすめて通って行ったという。
クレイトン・ユニバーシティー・メディカルケアセンターに直行し、手当てを受けた。
この事件以来、ホニー・コケーヌはヒップホップシーンで大人しくなったと言われているようだ。
4.Timbaland
snap via billboard.com
音楽プロデューサーであり、ラッパーとしても活躍するグラミー賞受賞アーティストのティンバランド。
デビュー前には、”Happy” の24時間ミュージックビデオで大ブレイク中のファレル・ウィリアムズと”S.B.I.”を結成していた。
1986年、15歳の高校生の時、DJとしてクラブでプレイしつつ、
シーフードレストランチェーン店の”レッドロブスター”で皿洗いのアルバイトをしていた時の事だった。
日頃から悩まされてきた地元のワルが厨房に入り込んで来て難癖を付けだし、殴り掛かってきた。
「お前にとっておきのモノを持ってきた。」というワルに対して、「ほー、どんなもんよ?」と言い返すティンバランド。
ワルは隠し持っていた銃を出してティンバランドを撃った。
銃弾は首を貫通し、右肩に突き刺さった。
回復までに数か月を費やしたと言うが、今では完治し、
100億円近い総資産を築くほどに音楽業界で成功を遂げている。
5.Young Dro
snap via hiphoplead.com< /span>
アトランタのラッパー、ヤング・ドローは、16歳の時に撃たれた。
腹と背中を撃たれたヤング・ドローは、全回復に1年間を要したと言う。
度々、この事件を振り返ってコメントしている。
「あの事件はトラウマになった。全く笑えなかったし、歩くことも、何も出来なかった。」と振り返っている。
6.Fabolous
snap via mtv.com
ニューアルバム”The Young OG Project”を2014年末にリリースしたばかりのNYCブルックリン区出身のファボラス
2006年10月17日朝、東海岸を代表するレーベル、バッド・ボーイ・エンターテインメントCEOでラッパーの
ディディ(パフ・ダディ、ショーン・コムズ)がNYCマンハッタンで経営するレストランバーの 『Justin’s』から
ファボラスは、取り巻き3人と一緒に出たところを、右脚を撃たれた。
ファボラス一行は車で赤信号を無視して警察に止められた、ファボラスの車内からは複数の銃が発見された。
銃規制が全米で一番厳しいとされるニューヨークでは、厳しい取り決めがされており、銃の不法携帯は逮捕に繋がった。
その後病院に運ばれたファボラス、幸い傷口は深刻でなく、すぐに回復できたという。
7.Lil Wayne
snap via wallpaperhi.com
現在のヒップホップシーンで若い世代にカリスマ的影響力を誇るラッパー。
今やレーベル「ヤングマネーエンターテイメント」を所有する巨匠となっているリル・ウェイン、最近の若い世代のラッパーにはLil Pump、Lil Uzi Vert、Lil Baby、Lil nas X、故Lil Peepなどなど名前にLil(リル)を付けるラッパーが無数に目立つがそれらはリル・ウェインを崇めてとのことだという。
13歳の時にアクシデントは起こった。
44口径のピストルで自分自身のことを誤って撃ってしまった。
銃弾は心臓をわずか数センチ逸れたために、自力で救急車を呼ぶことが出来た。
多くの人がリル・ウェインの余命がいくばくか知れているとして憶測していた。
さらに、リルは、2001年の19歳の時には、フロリダで彼のツアーバスの外から
何者かに銃撃されて胸を再び撃たれた。
2008年のインタビューではその事件を振り返り、
「窓ガラスが銃弾を減速させたからほとんど大したことはなかったよ。」と言い放って見せた。
2015年1月には、レーベル親会社でユニバーサルミュージック傘下「キャッシュ・マネー・レコード」代表のバードマンと、レーベル完全離脱問題の渦中におり、フロリダの自宅の庭にヒットマンと思われる数人が銃を持って侵入、リル本人からの911緊急通報の際の緊迫した録音が警察から公開、話題となった。
2015年4月26日には、抗争中のバードマンやヤング・サグらが、リル・ウェインのツアーバスを高速道路で追跡して銃撃、殺害を企てたとして当局が起訴・捜査する事件が起こっている。
何度、命を狙われているのか、最もラッパーらしいラッパーの1人だ。
8.Beanie Sigel
snap via tmz.com
東海岸、フィラデルフィア出身のラッパー、ビーニー・シゲルは、2014年8月に刑務所から出所したばかり。
2012年8月に、薬物と銃刀法違反、また犯罪を計画していたとして逮捕され2年ほど服役していた人物。
2014年の12月5日に、ニュージャージー州でトラブルから銃撃を受けた。
銃弾は腹を貫通し、背中から出ていったが、銃弾の破片により、2つの内、1つの肺を摘出する手術をした。
2015年1月に退院したばかりだという。
9.Lloyd Banks
snap via billboard.com
50Centも在籍するG-ユニットのメンバー、ロイド・バンクスは、
ニューヨーク州ニューヨーク市クイーンズ区ジャマイカ地区出身のラッパー
クラブに居る時に、2発の銃撃を背中と腹に受けた。
ロイドは何とか店内を逃げ出し、病院へとたどり着くことが出来た。
病院で次の朝目覚めると、テレビのニュースから流れてきたのは、
ツインタワー崩壊の映像、そう、奇しくも、9.11アメリカ同時多発テロだった。
10.50 Cent
snap via mockdrafthq.com
最近ではハリウッド俳優としても活躍する超ビッグなラッパー50 Cent(50セント)。
50セントの名前の由来は、1980年代にNYCブルックリンに50セント(約50円)の為でさえも人を襲い、
30人ほどを殺害した実在のギャング、ケルビン “50セント” マーティンから取られているという・・・。
ニューヨーク州ニューヨーク市 クイーンズ 区ジャマイカ地区出身、
50セントの母はドラッグディーラーで50セントが15歳の時に何者かに殺害された。
2000年5月24日、祖母の家の前で車に乗り込んだところを、
他の車がやってきて50セントは左側から至近距離で撃たれた。
合計9発を被弾、1発は頬を撃たれて舌、喉を貫通。
両脚、胸、尻、腕、手の指など全身余すとこなく撃たれた。
奇跡的に一命を取り留め、復活した50セント、この時の経験は、
2003年発表のアルバム”Get Rich or Die Tryin'”を創りだすインスピレーションになったと語っている。
11.6ix9ine
snap via Pinterest
13歳の時に父親が射殺され不登校となり家計を支える為に大麻の密売人となった 6ix9ine(シックスナイン)は、1996年生まれのニューヨークの貧困地区、ヒップホップ発祥の地ブロンクス出身。以前までTekashi69(テカシ69)と名乗っていたが、Tekashi(テカシ)いう名前は日本人アーティストにインスパイアされていたという。
2014年から音源をSoundCloudなどでセルフリリースし始め、2017年にメジャーレーベルからのデビューシングル『GUMMO』が大ヒットし一躍人気ラッパーとして連日アメリカで話題を独占している人物。
これまでに13歳と淫行しその動画をネット公開し保護観察処分、16歳少年を殴り、また麻薬関係の密売の罪も合わさり実刑判決。
実在するシカゴのギャングに喧嘩を売る、実際には現役のギャングメンバーであることを隠していた有名ラッパー数人を法廷で暴露したりと”snitch (スニッチ)”を司法取引に利用する。
ヒップホップのサブジャンル、”ドリル”を創ったとされるChief Keef(チーフ・キーフ)の銃撃事件のを捜査をするなかでヒットマンを送り込んだのはテカシとその関係者はギャングメンバーであったことが判明する。
数々の危険とされるラッパーとビーフ(争い)を繰り返す、SNSで住所特定されるので襲撃に備え現在は住所を隠しているなど、この男の周囲には不穏な空気が漂い続けている。
2017年デビュー以来、一気にヒップホップシーンの主役に躍り出た超新星、命知らずの挑発やビーフが度が注目を集める。2020年5月出所直後には、「KING IS BACK」とニューヨークのタイムズスクエアに一番大きい広告が出るほどの人気ぶりとなっている。
続けてコロナウイルスの際に子供達に食事を配る団体に約2000万円の寄付を申し出るが、悪名高すぎて団体から寄付を断られたなどエピソードは次から次へと沸いて出てくる。希代のワルなのだろうが、子供達や貧困層への深い愛情というものが彼のMVや日頃の行いからは感じられる社会派ラッパーとも言えるかもしれない。
TMZによると、現地時間2018年7月22日、車で移動中のテカシは助手席にいるところを隣に付けてきた車から降りてきた3人の男達に拳銃で殴られて気絶、運転手と共にそのまま隣の車の後部座席に乗せられて拉致された。銃撃を受けたという情報はない。
6ix9ineはそのまま自宅に連行され、ラッパーの象徴であるネックレスなど約7500万円相当のジュエリーと、約200万円の現金を強奪された。テカシを後部座席に監禁した車はそのまま移動を開始したが、途中でテカシは走行中の車から飛び降りて逃走、近隣の住民に助けられ緊急搬送されたとのこと。
襲った集団は6ix9ineがメジャーデビューする前のマネジメントチームの一員であり、ギャングメンバー達であったと報じられている。なおテカシはこれらが身内である事情からなのか捜査には非協力的だという。
実は69は複数のラッパーや関係者から彼はギャングメンバーではないとの証言もされている。69は地元ギャングに金を払うことでギャングを語りリリックを奏でてヒップホップでの商業的な成功と勢力を高めることに成功し、最後にはギャングを裏切ったなどと言われている。この誘拐未遂事件にはそういった経緯があったのかもしれないが、本人は詳細を述べていないようである。
いずれにしても、69の生存そのものが注目を集めている。
参照元:Huzlers,他
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